2014年12月09日

小松英雄(日本語学者) 内外の専門学者が気づいていない日本語運用の巧妙なメカニズム

※このトークセッションの配信は終了しました。

2014/11/15収録

小松英雄(日本語学者)

○日本語に清音と濁音との二項対立があることは日本人にとって当然のことなので、それが世界で唯一のすばらしい運用システムであることに気づいていないし、どこの言語にもない現象であるために、外国人の学者は自国の言語の音韻体系のなかにある音に当てはめて理解してしまい、日本語にそういう珍しい対立があることを見逃している。
○古典文法で《係り結び》とよばれている現象も日本語だけにしかないために、外国の言語学者に干渉されることなく、また、学校教育でも国語学者が取り違えた機能を教えて学習者を苦しめている。
○音便や連濁についても同様である。
○悪い意味で日本独特である古典文法や、古典文学作品の浅薄きわまる解釈の横行は、専門学者がテクストをきちんと読まずにつまみ食いして論を立てていることに起因している、《読まないから読めない、読めないから読まない》の悪循環を断ち切って、正統の手順を踏んだ研究成果を世に送ることが研究者に課せられた任務である。
○以上のことを、実例をあげて、また、用語についても、わかりやすく説明する。
※本トークセッションは、小松英雄『日本語を動的にとらえる ことばは使い手が進化させる』(笠間書院、2014年11月)刊行記念として行ったものです。

【講師紹介】
小松英雄(こまつ・ひでお)
1929年生まれ。筑波大学名誉教授。日本語学者。
著書に、国語史学基礎論(笠間書院)、いろはうた(中公新書)、徒然草抜書(講談社学術文庫)、やまとうた(講談社)、仮名文の構文原理(笠間書院)、日本語書記史原論(笠間書院)、日本語はなぜ変化するか(笠間書院)、日本語の歴史 青信号はなぜアオなのか(笠間書院)、古典再入門 「土左日記」を入りぐちにして(笠間書院)、丁寧に読む古典(笠間書院)、伊勢物語の表現を掘り起こす 《あづまくだり》の起承転結(笠間書院)、平安古筆を読み解く 散らし書きの再発見(二玄社)、等がある。

posted by junkudo at 11:02| トークセッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする