2011年10月16日

家辺勝文(『活字とアルファベット』)×互盛央(『フェルディナン・ド・ソシュール』『エスの系譜』)
企画進行 前田年昭
『「文字」のあふれる時代に「ことば」の力を取り戻すために』(後編)

【このトークセッションの音声配信は終了致しました】

『「文字」のあふれる時代に「ことば」の力を取り戻すために』

家辺勝文(『活字とアルファベット』)×互盛央(『フェルディナン・ド・ソシュール』『エスの系譜』)
企画進行 前田年昭



■2011年9月24日(土)19:00〜@ジュンク堂書店池袋本店

 何度目かの「電子出版ブーム」が演出され,最新の読書端末の動向や電子出版がらみの話題が各種のメディアを賑わせていますが,技術的課題や経済効果をめぐる議論の喧しさに比べて,ことばによる表現にまつわる本質的な問題についての省察の声はかき消されがちです。
しかし,電子出版もことばを担うメディア(媒体)である以上,ことばをめぐる本質的な問いかけと切り離して,その出現の意味を理解することはできないのではないでしょうか。
 2010年の秋に刊行された『活字とアルファベット』(法政大学出版局)において,家辺勝文さんは文字とそれを実現する技術の歴史を参照しながら,インターネット時代の文字とテキストをめぐるソフトウェア技術の基本的なあり方について批判的に検討しています。現在の文字処理技術を具体化するソフトウェアの思想には,17世紀以来の普遍言語思想が流れ込んでいることを示唆し,また音声言語を対象とする現代言語学の諸概念が,十分な吟味もなく文字のあつかいに応用されていることの危うさを指摘しています。
 2009年に刊行された『フェルディナン・ド・ソシュール』(作品社)において,互盛央さんは19世紀から20世紀初頭にかけてのヨーロッパの政治史や思想史を背景に,近代における「言語学」がいかなる役割を負って形成されたかを跡づけ,現代言語学の祖とされるソシュール(1857-1913年)の言語をめぐる根底的な思考のありように迫っています。
また,2010年に刊行された『エスの系譜』(講談社)では,広範な近代ヨーロッパ思想を渉猟しながら,言語が現れる根拠を「沈黙」という背景にまで遡って考察しています。
 いずれのアプローチも「ことば」と「文字」に関する知識の批判を含んでおり,本質的な問題を見失わないために「疑う」ことの勧めにもなっています。「ことば」と「文字」について,専門的な技術論に終始することなく,共通の問題として誰でも自由に幅広く語り合うためにはどのような切り口がふさわしいのでしょうか。言語学誕生の背景から,言語起源論や普遍言語論,表現の自由,電子書籍を含めた出版の将来まで,編集者としての経験も長い家辺さんと互さんのお二人が,原理的な考察と現場経験のエピソードを存分に織り交ぜながら,ざっくばらんに語り合います。

◆講師紹介◆
家辺勝文(やべ まさふみ)
1950年東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。1979年から日仏会館でフランス語による学術出版物の編集に携わる。「日本語文書の組版指定交換形式 JIS X 4052:2000」および「日本語文書の組版方法 JIS X 4051:2004」の原案委員会委員。W3C Recommendation Ruby Annotation(2001)の策定に協力。
著書に『デジタルテキストの技法』(ひつじ書房,1998),『活字とアルファベット』(法政大学出版局,2010),書評に「講義ノートは講義の録音なのか」(雑誌『悍』第3号,白順社,2009)などがある。
個人サイト「ウェブノートhttp://www.ne.jp/asahi/yabe/masafumi/」を不定期に更新中。

互盛央(たがい もりお)
1972年東京生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。
1996年より岩波書店に勤務。現在,雑誌『思想』編集長。著書に『フェルディナン・ド・ソシュール:〈言語学〉の孤独,「一般言語学」の夢』(作品社,2009年。第22回和辻哲郎文化賞,第27回渋沢・クローデル賞),『エスの系譜:沈黙の西洋思想史』(講談社,2010年)がある。

前田年昭(まえだ としあき)
1954年大阪生まれ。編集・校正者,神戸芸術工科大学教員。KDU組版講義
http://www.linelabo.com/KDU/


posted by junkudo at 11:43| トークセッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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