2013/6/2収録
NHK出版新書『憲法の創造力』『したたかな韓国』刊行記念
改憲論議の行方が注視されるなか、違憲判決の相次いだ「一票の格差」問題。
2012年衆議院議員選挙の無効判決まで飛び出しました。違憲判決を受けた選挙で誕生した内閣が改憲をリードしていいのでしょうか? そして参院選のゆくえは!? そもそも、現憲法を変える必要はあるのでしょうか?
いっぽう、大統領制をとる韓国では、ひんぱんに憲法改正が繰り返され、憲法裁判所の権限が強く、しばしば政治に大きな方向転換を強います。じっさい、前政権には「従軍慰安婦問題、もっとしっかりやりなさい!」との判決が下され、朴槿恵大統領もそれを無視できない状況に立たされています。
また、竹島領有権問題の国際法廷提訴、長崎の仏像盗難事件など、法と政治の問題は日韓関係においても重要なファクターとなっています。
同じ自由民主制をとるふたつの国で、いま立憲主義が根底から問われています。
ふだんは敬遠しがちな「憲法」をめぐる問題を、最新判例を引きながら自分たちの問題として論じた『憲法の創造力』著者の木村草太氏と、日韓の政治外交をゲームとして冷静に分析することで成熟した政治センスを身につけようと『したたかな韓国』で提案した浅羽祐樹氏。いま注目の研究者が、法学、政治学、それぞれの立場からニッポンの針路を展望します。刺激的な議論にぜひご参加ください。
木村草太(きむら・そうた)
1980年生まれ。東京大学法学部卒業。同助手を経て、現在、首都大学東京准教授。憲法学者。助手論文を基に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)を上梓。法科大学院での講義をまとめた『憲法の急所』(羽鳥書店)は「東大生協で最も売れている本」と話題に。近刊に『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)。
浅羽祐樹 (あさば・ゆうき)
1976年生まれ。山口県立大学国際文化学部准教授。専門は比較政治学、韓国政治、国際関係論、日韓関係。憲法や選挙制度などの政治制度がプレーヤーの戦略や行動をどのように規定するのかに注目して韓国政治を分析、日本政治の参照項として提示する。木村幹・佐藤大介両氏との共著に『徹底検証 韓国論の通説・俗説』(中公新書ラクレ)。